前回、被相続人(相続させる側)の意思表示のひとつとして遺言があるということをお伝えしました。遺言の方式等については、また別の機会にお伝えしたいと思いますが、今回は遺言について大事な点を3つお伝えしたいと思います。

1.遺言書を残す際に、遺言能力が必要

 遺言能力(遺言を残す能力)は15歳で認められます。ですが、法律行為である以上、行為能力(簡単にいうと自分の行為の意味を判断する能力)が必要です。そうすると、例えば認知症にかかってしまってからでは、行為能力の有無の判断が非常に難しくなり、仮に遺言書を作成したとしても認められなくなくなる可能性が高いです。お元気なうちに遺言書を残すことをお勧めします。

2.いつでも撤回可能

 お元気なうちに遺言書を一回書いたとしても、気が変わる場合もままあるかと思います。その場合でも、遺言はいつでも撤回可能です、ただ、3.で述べる通り、書類で残すものですので、「撤回する!」と空に向かって叫んでもダメで、一定の手続きが必要です。

3.厳格な要式性

 なんだか難しい言い回しですが、「このように書類で書きなさい」と法律でしっかり定められています。俳句形式で書いたり、録音したりしたものは、遺言として認められません。本人の意思を明確にし、受遺者(遺言で財産等を譲り受ける人)、相続人間等の争いを防止すると共に、本人以外による偽造・変造を防止する意味もあります。

このように、遺言(書)は、テレビのシーンで出てくるものとはかなり違って想像以上に厳格なものである、ということかもしれません。